« キャロット価格発表 | Main | 一口馬主の金言外伝 1億円馬への道 その2 »

August 18, 2012

一口馬主の金言外伝 1億円馬への道 その1

今日は獲得賞金が1億円を超える馬について考えてみたいと思います。一口馬主の金言と言えるようなものではないのですが、金言のカテゴリに「外伝」という形で入れておきたいと思います。

そもそもの競走馬の目標はG1を勝つこと。さらに言えば種牡馬となってその血を血統表に反映させることです。しかしながら一口馬主でそのような馬に出会うことはなかなか難しいですし、そういう馬は数も少ないので何らかの統計データを取るには母集団が少なすぎて適当ではありません。

色々考えた結果、獲得賞金が1億円以上の馬を色々な切り口から見ていったら、何らかの共通点が見つかり、今後の役に立つのではないかと思いました。

1億円で区切ったのは特別な意味があるわけではないのですが、5,000万円だと馬の価格によっては黒字にならない可能性もありますし(もちろん1億円でも馬によっては黒字になりませんが)、経験上、1億円以上稼いだ馬は、「活躍したな」という実感が持てるのではないかと。そういう馬が、毎年いれば最高ですし、毎年ではなくとも2年に1回くらい現れてくれれば、充実した一口馬主ライフが送れるのではないかと思ったからです。

前置きはこれくらいにして、早速見ていきましょう。

Kakakubetsu

(注)
・サンデーサイレンス産駒がいなくなった後の、04年産から09年産までの、社台・サンデー、キャロットの募集馬を対象としています。サンデー産駒がいた頃と現在では色々と変わってきていると思いますので、03年産以前は無視しました。
・社台・サンデー、キャロットの04年産から09年産まで1億円獲得馬は84頭でした。
・母集団を確保する関係上、09年産については、現時点で獲得賞金5,000万円以上の馬も含めました。
・サンデーの牝馬最低価格は1,600万円となっています。09年産のアイスフォーリスは1,400万円ですが、まだ1億円に達していませんので、ここでは除くことにして最低1,600万円としてあります。


①1億円獲得馬の価格

 募集馬の価格はクラブ(≒牧場)が決めているわけですが、そこには大きなヒントがあると思います。上記の表のとおり、牡馬は最低1,800万円、牝馬は最低1,600万円の価格で募集された馬から1億円馬が出ています。牡馬の1,800万円はフラガラッハのみであり、現実的な最低価格を考えた場合には、牡馬は2,000万円、牝馬は1,600万円が最低価格と言えるでしょう。
 やはり現在では、低すぎる価格の馬から1億円を目指すのは厳しいと言わざるをえません。これらの最低価格を下回る馬に出資する場合は、あまり大きい目標は設定できないということになります。
 一口馬主に回す金銭的な余裕がなく、安い馬しか買えないという人にとっては夢も希望もないデータかもしれませんが、そうでもありません。実は牝馬最低価格である1,600万円の1億円馬は5頭もいます。しかもその中にはリトルアマポーラというG1馬も含まれていますので、安い馬でG1を目指すというのも不可能ではありません。
 一方牡馬も、2,000万円の馬はかなりいます。ヘッドライナー、タケミカヅチ、アウトクラトール、カリバーン、セイリオス、フェイトフルウォー、ドリームジャーニー、オーロマイスター、シェーンヴァルト、フェノーメノ、スピリタス、これら11頭及び1,800万円のフラガラッハを含めた12頭が実は最低価格帯に潜んでいたわけです。ここにもやはりG1馬ドリームジャーニーが潜んでいたというのが驚きです。
 社台・サンデー及びキャロットの04年産~09年産までの1億円獲得馬は全部で84頭であり、そのうち17頭、約20%が、これらの1億円馬の最低価格帯から出現しています。
 あまり高額馬に出資できない場合は、この価格帯を狙い撃ちするという作戦もあるかもしれません。


②1億円獲得馬の年齢

 1億円獲得馬84頭のうち、母年齢が16歳以上だったのは8頭。9割は15歳以下という結果でした。16歳以上が1割いるというのを多いと思うか少ないと思うかは人それぞれであると思います。最高齢は社台のアーバニティー、ベストロケーションの22歳、次がタケミカヅチで21歳。アンライバルド18歳、タスカータソルテ、ヘッドライナーが17歳、エクスペディション、ジョワドヴィーヴルが16歳でした。
 これら高齢母馬の産駒の傾向としては、レガシーオブストレングス、ダイナアクトレス、バレークイーン、ビワハイジなど名うての名牝の産駒が半分ということです。もちろん、名うての名牝だからこそ高齢まで繁殖生活を続けられたというのもあるでしょうが、高齢繁殖でも、名牝の産駒の場合はマークが必要かもしれません。
 基本的には母年齢15歳以下であればあまり気にしなくてもよいのではないかと思います。母15歳の産駒は5頭もいますので、このあたりが境界線なのかなと思います。


③東西の偏り

 全体としては関西馬が約7割。まあ予想通りというか印象どおりではないでしょうか。ただし、よく見てみると、社台RH(社台ファーム)に関しては関東馬の割合が41.5%あり、意外と関東馬も頑張っているなという印象です。
 衝撃なのはサンデーR(ノーザンファーム)ですね。関東馬の割合はたった17.9%。キャロット(ノーザンファーム)と合計して計算してみても、23.3%です。やはりノーザンファームは明らかに関西に意図的に良い馬を入れていると考えられます。いやいや、馬のレベルは同じだけど、関東の厩舎の技術が低いだけじゃないの?と思うかもしれませんが、関東も関西もどちらもプロなわけですし、調教技術でここまであからさまに差がつくことはありえないと思います。以前「競馬最強の法則」に吉田隼騎手のインタビューが載っていて、そこで「もっと関東にも良い馬を入れて欲しい」と言っていましたが、吉田隼騎手の言っていることはやはりデータからも裏付けられることだと思います。
 関東居住者としては断腸の思いではありますが、サンデーR、キャロットの関東馬に出資する場合には、よくよく考えてからにしたほうが良さそうです。


④牡馬と牝馬

 中央競馬の賞金は、全賞金の71%を牡馬が稼ぎ、残りの29%を牝馬が稼ぎます。近年は牝馬の活躍が顕著で、チャンピオンも出現し、牝馬の時代と言われたりもしますが、現実はやはり牡馬有利に変わりはないということです。1億円獲得馬の牡牝の割合も上記の割合と同様になります。
 これも考え方によるとは思うのですが、どうしても牝馬クラシックを取りたいと考えるなら、牝馬に出資するしかありません。そうでなければ、牝馬に集中的に出資してしまうのは考えものかもしれません。
 ただし、牝馬は1億円獲得馬も少ないですが、その分募集馬の価格自体も3割程度安くなっていますので、狙い方次第とも言えるかもしれません。


今回はこれくらいにしておいて、次回は種牡馬との関係を見て行きたいと思います。

|

« キャロット価格発表 | Main | 一口馬主の金言外伝 1億円馬への道 その2 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« キャロット価格発表 | Main | 一口馬主の金言外伝 1億円馬への道 その2 »