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August 06, 2012

一口馬主の金言その6

募集馬を選ぶ際にいつも悩むのは所属厩舎です。あ~、なんでこの厩舎なのかなあ~、とか、そんなにいいとは思わなかったけど、この馬上位厩舎に所属するんだ~、とか、悩みを複雑にさせるのが所属厩舎でもあります。その悩みの尽きない厩舎について考えてみましょう。


【金言その6:厩舎の重要性を知れ(その1)】

厩舎が重要だとはきくけれど、一体何が重要なのか。少なくとも、一口馬主を始める前までは、厩舎の重要性に注目している人はほとんどいないでしょう。私も馬券中心の時代には、漫然と、成績の良い厩舎、悪い厩舎と区別はできていたものの、なぜそういう差がつくのかを考えたこともなかったし、ましてや厩舎で何をやっているかについてなど興味を持ったことすらありませんでした。

結局のところ、厩舎というのは、競馬ファン全体から見てブラックボックスだということです。ブラックボックスだけに、そこで何が行われているのかなど気にしても仕方ないので、通常は馬の能力、血統、騎手の騎乗の巧拙にばかり注目していまい、厩舎を軽視しがちになります。

しかし、色々な馬に出資して感じることは、厩舎というのは、馬の人生(馬生)に大きな影響を及ぼしており、語弊があることを覚悟の上で言うと、変な厩舎に所属してしまった馬は、それだけで能力のすべてを発揮できない可能性があるということです。

なんとなく感じてはいるものの、成績が良い厩舎と悪い厩舎の間では、じゃあ何が違うのかということになります。

私も何かが違うとは思いながらも、その違いを言葉にするのは非常に難しく悩んでいましたが、先日読んだ本に、その疑問についての答えがありました。

「京介式馬券 厩舎ランク」-金子京介著 という本です。

メインの内容は、厩舎をランク別に区分けして、それを元に馬券を当てるという馬券本なわけですが、馬券の部分は置いておいて、その前の厩舎についての考察は非常に参考になりました。

まず、第一に、どの厩舎に所属するかということは、「子供の将来を嘱望(心配)する親が、名門校を選んでエリートコースを進ませたい」と思うことに似ていると。

ここで競走馬を「子」、学校を「厩舎」と置き換えると、次のように考察できます。

「東大を目指すような名門校(灘、開成など)には、神童と呼ばれるような生徒たちが集まる。その神童たちの間で優秀な教師と、洗練されたカリキュラムによって高いレベルの教育を毎日受けることになる。その中で切磋琢磨してその素質を開花させ、その結果、東大をはじめとする一流大学に合格していく。

そうすると、その学校が多くの一流大学合格者を出したことが世に広まって、翌年はさらに優秀な生徒が集まる。その結果、学校経営は潤い、さらに高いレベルの教材や施設を揃え、人員も補充し、より充実した教育が可能になる。

コレを馬の世界で考えるとこうなる。

G1(東大など)を筆頭に多くの重賞勝ち馬(一流大学合格者)を輩出する、リーディング上位の厩舎(有名進学校)には、全国から毎年良血馬や素質馬(神童たち)が数多く集まる。その同期(同学年)のライバルたちと切磋琢磨しながら、ときには古馬(先輩)の胸を借りていろいろなことを学ぶ。そして、優秀な調教師や調教助手(教師)の指導の下研究され尽くした調教メニューが組まれ、トレーニング(学習計画・授業)が行われる。飼い葉や飼料はもちろん、脚元のケアや体調管理にもぬかりはない。その結果素質馬たちが、その才能を余すところなく発揮して一流の競走馬となっていく。

こうして多くの重賞を制すような厩舎には、その手腕を頼りにして、翌年にはまた新たな素質馬・良血馬が集まってくる。所属馬が獲得した賞金により、厩舎経営は潤い、最先端の調教技術を導入する余裕が生まれ、最新の調教機材や高価な飼料を導入することが可能になる。

これが好成績の厩舎のサイクルということになる。

一方、成績が芳しくない厩舎のサイクルはこうなるはずだ。

重賞(一流大学進学)どころか、未勝利(中学レベルの復習)もままならない馬ばかりのリーディング下位厩舎(スクールウォーズやビーバップハイスクールといったところか?)には、全国から毎年血統的に今一つの馬や問題を抱える馬(やる気ゼロの生徒や札付きのワル)がぞろぞろ集まってくる。厩舎の古馬も500万下で頭打ちのようなのばかりで、厩舎の先輩から学べるところも多くない。元々は優秀であったかもしれない調教師や厩務員(教師)も、どうせ何やっても変わらないだろうというモチベーションで適当な調教(授業)を行う。脚元や体調の管理なども綿密とは言えず、それなりにコースをグルグル周って、なんとなく仕上がったらレースに出して出走手当てを稼ぐ。当然賞金収入も少ないので、新たな調教機材など導入する余裕などなく、古い時代をいつまでも引きずって進歩は一切ない。翌年には悪い評判はさらに広まり、馬を預けようという馬主は減り、厩舎経営はますます逼迫していく。」

まあ、ここまで極端ではないにしても、おおよそこういう差があるということでしょう。

わかっているようで、わかっていない、こういう原則を常に頭に置いておかねばいけません。

話が長くなったので、続きはまた今度。

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Comments

いや〜さすがに奥が深いですし楽しんで拝見させてもらっています。本当にそうだと思います。最近は厩舎から選択していますが、間違えではないと思っています。

これからも面白い情報を提供して下さい。

Posted by: 。 | August 07, 2012 06:42 PM

。さん、楽しんでいただけたようで何よりです!私も常に厩舎のことを考えながらも、その全体像がわからずスッキリしませんでしたが、ある一つの方向性が見えた気がしています。

また何か面白いことを思いついたら書きますので、また見に来てくださいね!

Posted by: 競馬悟空 | August 07, 2012 11:06 PM

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