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August 14, 2012

一口馬主の金言その8

今回は新規開業厩舎についてです。

【金言その8:厩舎の重要性を知れ(その3:新規開業・若手厩舎)】

ここまで色々と厩舎について見てきました。厩舎ランクの上位にいる厩舎は、一部上場で株価が高値安定している有名企業という感じで安心感があります。

一方で新規開業厩舎や開業後数年の若手厩舎はどういう存在でしょうか。良い厩舎なのかダメ厩舎なのか、なんとも判断がしづらいところです。

JRAの調教師が安定した超人気の職種だったのも昔の話。最近は美浦の厩舎は次々と勇退という名の廃業に追い込まれています。その後を引き継ぐことになる新規開業調教師は、その廃業せざるを得ない状態、企業で言えば民事再生寸前とも言える状態である厩舎を引き継がなければならないわけです。

厩舎を引き継ぐということは、その厩舎でくすぶっている下級条件の馬たち、長年の間やる気の出ない状態に置かれた厩舎スタッフ、旧態依然とした調教技術及び調教機材すべてを引き継ぐということです。

したがって、通常の新規開業調教師は自身の努力とは無関係に、厩舎ランクが最低ランクの状態から厩舎経営を始めることになります。その経営は想像するだけでも恐ろしいイバラの道と言えるでしょう。

そういう状況で、新人調教師が厩舎ランクを上げていくには、まずは次の3点をクリアしなければならないことになります。

①前厩舎から引き継いだ下級条件でくすぶっている馬を復活させることができるか
②他の上位厩舎から追放された馬を復活させることができるか
③開業後最初の2歳世代を走らせることができるか

①については、正直非常に難しいでしょう。単純に能力が足りない馬も多いでしょうし、一旦くすぶってしまった馬を復活させるのは大変なことであるというのは想像に難くありません。逆に、これができる厩舎は将来的に相当の可能性を秘めているということになります。

②については、これは一番ありがちで、一番手っ取り早く厩舎の存在感を示す手段かもしれません。まさに、私たちの出資馬について、クラブから、「ご存知の通り○○厩舎にはオープン馬が多数在籍しており、入厩できる状態であってもなかなかスムーズな入厩ができていない現状です。そのため、牧場サイドと相談した結果、この度本馬を新規開業する△△厩舎へ転厩させることにいたしました。」というメールがくるパターンです。このパターンでそうそうに勝ち星を稼げれば、その厩舎の前途は洋々と開けてくるでしょう。

③については、まさに他人の手垢が付いていない、調教師自身の営業力、人柄、やる気等のすべてが結集した結果管理することとなった馬ですから、この2歳新馬がどういう活躍をするかについてはすべての人が注目しています。よっぽど恵まれない限り、いきなり超良血馬を管理できることはありえませんから、最初はそこそこの血統・能力の馬で他人に注目される結果を得なければなりません。まさに調教師としての能力のすべてを試されることになります。

上記の①の例は、前にも紹介した、「京介式馬券 厩舎ランク」-金子京介著 に色々と書いてありますので、ぜひ一読してみてください。

ここでは、私の経験から③について例を挙げたいと思います。

今色々と話題の美浦の堀師がまだ新人だったころ、キャロットの馬で堀厩舎の所属馬に出資したことがあります。今の堀厩舎では考えられませんが、800万円の馬でした。2歳の冬にデビューしたものの、芝で新馬、未勝利と大敗し、正直、やっぱりそうかという気持ちでした。この値段だし仕方ないかなと思っていましたが、堀師は、「こんな馬ではない、もっとやれるはず」と妙に前向きだったのを覚えています。その後ダートで3連続で大敗し、芝に戻った6戦目、何と新潟の直線をごぼう抜きで優勝してしまいました。これが私の一口馬主初勝利でした。結局500万下の特別も勝って、引退まで32戦して2勝、出資額の3倍くらい稼ぎました。その後、堀師はあっという間に上位ランクの厩舎となってしまい、今に至ると。

今にして思うと、やっぱり社台生産馬で800万円の馬を2勝もさせるなんて、なかなかできることではないし、堀師及び堀厩舎はそれだけ優秀だったんだなと。

こういう厩舎をいち早く発見できれば、一口馬主ライフもより充実したものになるでしょう。

最近では、私が注目しているのは、美浦の田中剛厩舎です。
田中剛厩舎も例に漏れず低迷状態の厩舎を引き継いだわけですが、積極的に牧場に足を運び、社台グループの信頼を得ているようです。なんといっても、一旦地方に転出した超良血馬フェデラリストを重賞勝ち馬にした功績は非常に目立ちますし、賞賛されるべきものです。

色々な雑誌・WEBを含めた情報でも、田中剛師が社台グループから評価されているということを感じました。私自身、先日牧場に行ってみて牧場の方と色々とお話しましたが、全員、田中師のことを、牧場によく足を運び、腰が低く、新進気鋭の調教師であると笑顔で語っていました。

こういう先生はこれから伸びるのではないかなと思います。これからも注目していきたいですね。

ちなみに、上記先ほど紹介した本では、美浦の木村厩舎、牧厩舎、大竹厩舎、斉藤誠厩舎、栗東の吉田直厩舎、村山厩舎、笹田厩舎が注目厩舎として紹介されていました。これらの厩舎も注目したいところです。

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Comments

楽しくて拝見させてもらっています。廃業→民事再生の引き継ぎは笑ってしまいました。
確かにそうですねsign02
堀厩舎が関東で活躍していますが、関東と関西で比べてしまうと、どうしても関東馬が一枚落ちる感じがします。
以前から言われています坂路の距離だけでは無いと思うのですがいかがでしょうか?

Posted by: 。 | August 14, 2012 at 06:52 PM

関東馬が関西馬に比べて一枚落ちる感じなのは、やはり単純に馬の質が一枚落ちるというのが端的な理由と思います。

ではなぜいい馬は関西に預けるのかというと、それは厩務員(の労働組合)に問題があると言われているようです。

実際、関東の厩務員の労働組合は非常に勢力が強く、JRAも調教師も迂闊に手出しできないというのが現状のようです。

関西にももちろん組合はありますが、その昔、戸山師などが組合と闘争し(著書に組合との闘争についての記述もあります)、現実的なところで折り合ったため、関西のほうが組合は柔軟なようです。

関東の組合は、労働時間やら待遇やらにやたらうるさいらしく、関東の調教師は組合のせいで思ったほどの調教ができないというのが一番のネックらしいです。

しかも関東のほうが、この厩務員の経費等のせいで、預託料も高くなることが多いらしいです。

したがって、馬主からしたら、関東に預けるメリットは何も無いというのが現状のようで、いい馬であればあるほど、関西に預けたくなるのは自明の理といえます。

この厩務員の組合の話は、JRAのブラックボックスの中でも極めつけのブラックな内容らしく、なかなか表に出てこないのですね。

この問題は、JRAがどこかの地方競馬のように赤字で廃止寸前になるまで解決しない気がします。関東の厩務員組合からしたら、赤字でもないのに給料を減らしたり、労働時間を長くするのは、労働者から搾取している!ということを主張するでしょうし。

一般の営利企業では考えられない現実が美浦には残っているというのが一番の原因ではないかと思います。

Posted by: 競馬悟空 | August 14, 2012 at 09:05 PM

組合問題であれば口出し出来ないところが有りますねsign02
成績の良い厩舎はレースの進上金が入って来るので必然的に(固定給ではないですが・・・)収入が増えるという発想が有っても良い気がします。

売上げ落ちていますが、一流企業の社内でしょうから固定給が上がる事を望んでいるのでしょう。

Posted by: 。 | August 15, 2012 at 05:54 AM

そうですね。成績の良い厩舎にいる組合員はあまりうるさくないかもしれないですね。問題なのは、下位ランク厩舎にいる組合員かもしれません。社台ファームは、まだ若干関東に肩入れしているところも見受けられますが、ノーザンファームはいい馬はほとんど関西に入れている気がします。

Posted by: 競馬悟空 | August 15, 2012 at 08:35 PM

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