東京サラブレッド厩舎ランク
意味不明なタイトルになってしまいましたが、要するに東京サラブレッドの募集馬の厩舎についてということです。
昨日の「金言その6」ともつながりますが、本当に東京サラブレッドクラブが預託している厩舎は厳選された良質な厩舎であるのかを確認してみましょう。
その確認には、 「金言その6」でもご紹介した「京介式馬券 厩舎ランク」の、「厩舎ランク」を用いたいと思います。
「厩舎ランク」とは、その厩舎がどれだけ好成績を挙げているかを示すとともに、その厩舎がどれだけ効率的に厩舎経営を行っているかも指し示す指標と言えます。厩舎ランクが最高ランクの厩舎は、調教師が優秀であるのはもちろんのこと、その配下の助手・厩務員も優秀で、素質馬が集まり、常に調教技術の向上に努めている厩舎です。
厩舎ランクについて簡単に説明すると、ランクの算出の仕組みは以外と簡単です。
(A×2+B)/C=R
最近半年間の1着の数=A
最近半年間の2着の数=B
最近半年間の出走回数=C
厩舎ランクの元となる数値=R(高いほどよい)
この算式で算出された数値が高いほど、 「金言その6」でも書いた「良い厩舎」ということになります。
美浦・栗東の全厩舎をこのR値が高い順に並べ、上位15位が「ランク1」、その下の16位から35位が「ランク2」、36位から60位が「ランク3」と、分けていき、全部で7つのランクに区分します。厩舎ランクについては下記のURLも参考にしてください。
【最新厩舎ランク一覧】
http://jrdvsp.jrdb.com/kyusyarank/topranks.html
【厩舎ランクとは】
http://jrdvsp.jrdb.com/kyusyarank/about.html
で、その厩舎ランクですが、競馬最強の法則4月号~8月号に毎月の上位厩舎ランクが載ってましたので、それを私が表にまとめて、東京サラブレッドの募集馬が所属する厩舎だけ抜き出しました。それが以下の表です。
まあ、だいたい皆さんの予想通りの並び順かなと思います。
この中でも特に注目したいのは、半年間一度もランク2以下に落ちていない「ランク1(赤色)」の藤原、友道、角居の3厩舎です。この3厩舎は本当に凄いと思います。ランク1を半年間維持するということは、毎月コンスタントに勝ち星、2着を積み重ね、かつ無駄な出走はせず、さらに特定の馬の活躍に頼ることなく、厩舎の馬全体が走っていることを意味します。この3厩舎に所属する馬は活躍間違いなし!
いやいや、ちょっと待てよ。オレの出資馬はこの3厩舎に所属していたが、放置されるわ、馬房の都合で後回しにされるわ、挙句の果てには追放処分になってしまったぞ!という方がおられるかもしれません。
一口馬主の出資者の見地からすれば、そういう意味では確かにこれらの厩舎を賞賛できないかもしれません。しかし、厩舎の側から見ればそこに厩舎経営のポイントがあるわけです。
上記の計算式のR値を上げて「厩舎ランク」を上げるためには、いくら1着(Aの値)、2着(Bの値)が多くとも、総出走数(Cの値)が大きかったら、結果としてRの値は上がりません。
したがって、上記の3厩舎は常に(厩舎にとって)最善の馬房ローテンションで所属馬を管理し、決して無駄な出走は行わないということがわかります。無駄な出走を行わないかわりに、極限まで考え抜かれた、合理的かつ効率的な調教を日々行い、常に勝利を目指しているということです。これが現在の厩舎経営の極意であるということです。
その代償として、必然的に所属馬の年間の出走数は限られ、とくに体に悪いところのある馬はなかなか厩舎に入れてもらえないですし、さらに成績の芳しくない馬は、ある時期で見限られて追放処分になるということです。
そういう意味では、残念ながらあまり素質に恵まれなかった馬がこれらの3厩舎に所属してしまうと、ミスマッチが発生し、馬にとって最善でない人生(馬生)となってしまう可能性もあるわけです。
ただし、間違いなく言えることは、これら3厩舎は調教スタッフの優秀さ、調教技術の高さは間違いなく最高レベルだということです。また、厩舎ランクがランク1になるには、算式で1着(Aの値)に2倍のバイアスが置かれている関係上、まず1着が多くなければいけません。そういう意味では「勝ち」にこだわってくれる、「勝ち上がれる」厩舎だということです。
所属馬が、残念ながら生まれつき脚が遅い馬であれば如何ともしがたいですが、勝ち上がれる能力のある馬であれば、「勝ち上がり」の可能性は高い厩舎とも言えます。ただし、その後500万下で頭打ちになった場合は追放の対象になるのを覚悟しなければいけないということです。
つぎにオレンジ色の「ランク2(オレンジ色)」の松田国、藤沢和、石坂、安田の4厩舎です。
石坂、安田の両厩舎は当然のランクインでしょう。G1での活躍馬もいますし、むしろこのレベルの厩舎でも半年間ランク1を維持することは難しいということに驚いてしまいます。
一方、最近は以前ほどの活躍がみられない藤沢和厩舎ですが、実はここ半年はランク3以下には下がっていませんでした。以前の藤沢和厩舎は本当に特別な存在でしたから、さすがにその頃の印象はなくなったにしても、まだまだ良い厩舎だということは明らかです。素質がある馬が所属すればまだまだ活躍の可能性があるはずの厩舎のはずです。
昨年極度の不振だった松田国厩舎も復調急です。これは明らかな原因があって、調教方法を元のガンガンやるスパルタ方式に戻したためです。ここ数年は先生自身が馬を壊すのが怖くなって以前より調教をセーブしていたらしいですが、やはりそれではダメということになって、今年から元に戻したらしいです。その結果が如実に現れ、また元のような好成績につながってきたということだと思います。松田国厩舎=不振という思い込みがある方は、考えなおしたほうが良いかもしれません。
さらに、「ランク3(黄色)」である、須貝、国枝、矢作、手塚、久保田、松田博、大竹、尾関、平田の9厩舎です。このランクにいれば、上位厩舎と認められるランクです。
この中では須貝厩舎の上昇度が目を引きます。このままの状態を維持できれば厩舎ランクはまだまだ上がっていくでしょう。今ノリにノッてる厩舎と言えるでしょう。
ちょっと意外なのは松田博厩舎がランク3とは。やはりブエナビスタが抜けた、要するにリードホースである厩舎1番馬が抜けた影響というのは思いのほか大きいのかもしれません。もちろんこのままということはないでしょうが。
最後に「ランク4以下(白色)」にランクされた厩舎です。
半年間一度も3以上にランクされていないのは大久保洋厩舎のみ。大久保洋厩舎は数を使うので必然的に上記算式のCの値が大きくなるので、ランクが上がることはないでしょう。逆に言えば、ランク4以下にランクされる厩舎のほうが、一つ勝てるか勝てないか?というような馬が所属するには適しているとも言えます。
上記の内容をまとめると、以下のことが考察できます。
・素質がある馬が上位ランクの厩舎に入れば、優秀な厩舎スタッフ、検証され尽くした調教メニューの効果でより活躍が期待できる。
・あまり素質がなさそうな馬はランクが上の厩舎に所属すれば厩舎の力で1勝は期待できるが、ランクが上の厩舎であればあるほど、その後、放置、追放の危険性は高まる。
・とにかく出資馬が出走する姿を数多く見たい場合は上位ランクの厩舎の馬は選ばないほうが良い。
・一口馬主界では時に不当な評価をされている、友道、藤沢和厩舎も実は良い厩舎。
さて、一番最初の本題に戻りますが、東京サラブレッドクラブが預託する25厩舎のうち、実に16厩舎がランク1~3の厩舎ということがわかりました。それ以外の厩舎もコンスタントにランク3までに入っており、厩舎のラインナップなら他のクラブの追随を許さないと言えるでしょう。これも奥に控えるYオーナーの人脈・人徳の賜物でしょうか。私は人脈も人徳もありませんが、ありがたく乗っかりたいと思います。
厩舎のみで募集馬を選ぶのはどうかなとも思いますが、最後に迷ったら、所属厩舎で判断するのも良いかもしれませんね。
Comments
いや〜面白い情報です。
ただ、今をときめく池江寿厩舎のコメントが無かったですが池江寿厩舎はどうなんでしょうか?
Posted by: 。 | August 08, 2012 07:15 PM
池江寿厩舎は、最近半年間はすべて「ランク1」にいます。厩舎ランクの著者によると、池江厩舎はランク1が指定席だそうです。池江厩舎も非の打ち所が無い厩舎ですね!東サラでは池江厩舎の募集馬がなかったのが残念です。
Posted by: 競馬悟空 | August 09, 2012 06:42 AM
所属馬の血統レベルを考慮すると、大竹、尾関厩舎は大変優秀ですよね。
両厩舎の募集馬がディープやキンカメ等の良血馬なら大事にされそうだし、狙い目かも知れないですね。
Posted by: u | August 09, 2012 02:03 PM
uさん、確かに、大竹厩舎、尾関厩舎は若手厩舎の中では優秀ですよね。厩舎ランクも最近はほとんど2以上で、強い馬がいない割りに成績を上げているのは素晴らしいですね。厩舎一番馬となりえる血統の馬が入るなら特に注目すべきですよね。
Posted by: 競馬悟空 | August 10, 2012 12:26 AM