« 2012/10/27(土),10/28(日)結果 | Main | 2012年ロード募集時評価(一部) »

October 31, 2012

スピード指数と20年

 今から20年前、忘れもしない1992年競馬最強の法則6月号だったと思います。この世で初めて、まあ正確には日本で初めてスピード指数というものが登場しました。私がスピード指数と言っているのは、今でいう、「西田式スピード指数」のことです。
 その後たくさんのスピード指数が世に出ましたが、この西田式スピード指数が、正真正銘日本で最初のスピード指数です。
 「日本で」と、あえて言っているのは、そもそものスピード指数はアメリカでアンドリュー・べイヤーという人が考案したものであり、私が言うスピード指数は、西田氏が日本向けにカスタマイズしたものということになります。

 スピード指数は計算が結構面倒で、当時はパソコンもあるにはあったが一般には普及していないものでしたし、出走馬の馬柱を見ながら、一つずつ、電卓でコツコツ計算するしかありませんでした。
 これがまた大変な作業で、慣れてきても1Rに30分くらいかかります。12R計算すると、それだけで6時間かかります。今と違って、当時は関東では関西のレースは買えませんでしたので、2場開催の場合は自分一人でも6時間かければ計算できたのですが、3場開催の場合で、2場分計算する場合12時間かかってしまいます。
 駅の売店で金曜の昼に並んだばかりの「一馬」(現在の「優馬」。当時は一馬が売店に並ぶのが一番早かった。)を買って家に帰り、そこから1秒も休まずに計算し続けたとしても終わるのは夜中になってしまうのです。
 当時は、結局自分一人では計算しきれないので、無理やり競馬仲間を家に集めて、スピード指数の理論及び計算方法伝授し、3~4人で計算していました。

 で、昨日、たまたまですが、そのスピード指数計算メンバーが飲み会で顔を合わせ、当時を懐かしんだのです。そのメンバーのなかで、今も競馬に執着しているのは私だけ。競馬の売り上げが落ちるのも無理はないなと思いつつ、最近の競馬について色々と聞かれました。
 スピード競馬から瞬発力競馬になったこと。上級条件では先行有利からむしろ差し有利になってきたこと。武豊は凋落し、変わって外国人騎手や地方出身騎手が幅をきかせてきたこと。
 どれもしばらく競馬から離れていた人にとっては驚くべき変化でしょう。さらにスピード指数の傾向の変化についても話しました。

 昔は古馬のG1を勝つ馬はスピード指数が110くらい出ていて、3歳牡馬クラシックでも勝ち切るには100近くの指数で走らないと無理でした。ところが、最近は100近くの指数が出せれば、古馬のG1を勝つことができます。3歳牡馬クラシックでは80後半で十分です。
 これは昔に比べて、今の馬が弱くなったという意味ではなく、日本のサラブレッド全体の上下の差が縮まってきたということだと考えられます。
 というのは、スピード指数の計算というのは、主として古馬500万条件、1000万条件のレースの1着馬から3着馬までを対象として、基準タイムや馬場指数を計算し、それを基にスピード指数を計算していきます。上下の差が縮まるというのは、500万条件、1000万条件のタイムに比して、未勝利もG1もタイム差自体が縮まっているということです。
 もちろん原因としてスローペースのレースが極端に増えたというのはありますが、スピード指数ではスローのレースは基本的に除外して基準タイムを計算していきますので、やはりサラブレッドのスピード能力の絶対値の差は縮まってると考えるのが妥当だと思います。

 昨日の飲み会のメンバーは皆過去にあの恐ろしいスピード指数の計算を手伝っていた人たちだったので、皆すぐに納得してくれましたが、スピード指数と縁のない生活をしている人にとっては、なかなか実感の湧かない話かもしれません。
 でも、今は未勝利戦でも上がり33秒台が普通に出る世の中ですから、差が縮まってるのかな?という感覚は皆さんにあると思います。

 さらに、社台ファームで聞いた話を思い出しました。
 昔は気性難の馬というのは、本当にひどいのがたくさんいたと。ダービースタリオン等のゲームをやった人なら覚えているであろうモガミとかの産駒は本当にひどい気性難の馬がいて、牧場でも本当に苦労していたそうです。
 それに比べたら、今の馬たちはやはり気性がおとなしくなったと感じるそうです。やはりこれもサラブレッドの淘汰というか進化というか、気性の悪い血統は自然に淘汰されていって今に至るということなのだと思います。

 20年で個々のサラブレッドの能力は、より中央値に近づくようになり、サラブレッドの気性も極端な気性は減ってきたことを考えると、これからは馬の「賢さ」のようなものがより馬の将来の明暗を分けるのかなとも思ったりします。
 レースに行って闘争心を持ちつつ、騎手の言うことに従ってロスなく立ち回り、最後の3ハロンで力を発揮できる馬。スピード能力や根本的な気性に差がなくなりつつあるなら、将来的にはこういう部分が大切になってくるのかもしれません。

 そうは言っても、今話したことはまだ先の話になるでしょうが、これからサラブレッド全体、競馬全体がどういう方向に向かっていくのか楽しみでもあり、怖くもありますね。


|

« 2012/10/27(土),10/28(日)結果 | Main | 2012年ロード募集時評価(一部) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 2012/10/27(土),10/28(日)結果 | Main | 2012年ロード募集時評価(一部) »