鍛えて最強馬をつくる
今日も本の紹介です。以前も少しだけ紹介しましたが、故戸山為夫調教師著の「鍛えて最強馬をつくる(情報センター出版局)」をご紹介します。
戸山師はもう20年近く前に亡くなられましたが、その著書は今も輝きを放っています。この本も現在では古本でしか手に入らないのが非常に残念ですが、現在の競馬を語る上で欠かせない名著だと思います。
戸山師自身の生い立ちから調教師になるまでの苦労話や、もちろん自身が育て上げた名馬ミホノブルボンのこと、さらにはウオッカを生んだカントリー牧場のオーナーである、先代の谷水氏などの話は非常に興味深い内容です。
また、この本の中には、関東では現在までもひきずっている厩務員の労働問題で、戸山師自身が苦労した話も載っています。戸山師が栗東に坂路を作るように努力した話は有名ですが、今になって思うと、関西が優勢になったのは決して坂路だけの問題ではなく、戸山師を含む色々な人の自助努力、自己改革があったからこそなのだなと思います。
戸山師は、歯に衣着せぬ物言いで反感を買ったり、周りと衝突や軋轢があったりしたようですが、やはり改革者としてこれほど現在の競馬に貢献した人はいないでしょう。良血馬ではない馬を鍛え上げてクラシックを席巻した戸山師ならではの視点を楽しめる書物です。手に入れるチャンスがあったらぜひ読んでみてください。決して損はしないはずです。
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