クラブ別の傾向
種牡馬の実力シリーズもまだ途中なのですが、今日はちょっと切り口を変えて、クラブ別の傾向を見てみたいと思います。以前にもちらっと言いましたが、種牡馬の実力シリーズのデータ解析をクラブごとに当てはめて、傾向を見たいと思います。
多分、皆心の中で何となく気づいている各クラブに対する印象が、より明らかになると思います。
なお、募集馬のうち、社台G生産馬のみでのデータですので、その点ご注意ください。
(注)
・社台RH、サンデーR、キャロット、東サラ及びグリーンの5クラブが対象です。G1及びシルクは社台G生産馬を多く擁していますが、開業又はリニューアル後間もないため比較できないので除きました。
・母集団は2006年産から2009年産までの4世代の社台グループ生産馬です。
・ここでの社台G生産馬とは、社台F、ノーザンF、白老F及び追分F生産馬のことです。
・パーセンテージでの表記のものは回収率を示します。
・打率とは、募集馬全体のうちに、回収率100%以上馬の占める割合のことです。
・長打率とは、募集馬全体のうちに1億円以上獲得した馬の占める割合です。
・三振率とは、募集馬全体のうちに獲得賞金が0円の馬が占める割合です。獲得賞金0円の馬とは、レースに出走したものの1回も掲示板に載らなかった馬及びデビューできなかった馬の合計となります。
・ピンク色は各カテゴリにおける1位、灰色は最下位を示しています。
社台RH
各クラブで募集されている社台G生産馬全体の回収率が、99.9%であることは以前の記事で示しました。それと比較すると、社台RHは全体としては平均的な回収率ということになります。
確かに全体としては平均的ですが、この5クラブのなかで、8項目のうち3項目で1位の値を出しています。これはさすが老舗の実力というところでしょうか。
特に目立つのは、西高東低を通り越して完全な関西偏重とも言える今の中央競馬において、社台RHは、関東馬の回収率が108%に達し、全クラブの中で1位となっています。関東居住者にとっては心強い存在です。社台Gのなかでも、社台RHは関東にそれなりに気を遣ってくれているとも言えるかもしれません。
そして何と言っても、長打率が1位です。サンデーRのような場外ホームランはないものの、1億円以上稼いでくれる馬の割合は一番高くなっています。これは素晴らしいですね。
あと、意外に重要なのが三振率。獲得賞金ゼロの馬の割合は社台RHが一番低いのです。
これらを総合して考えると、社台RHは、東西の偏りもなく、比較的たくさんの馬が平均的に活躍し、超大物は少なくなったものの、その分クズも少なく、1億円程度稼いで楽しめる馬に出会える可能性も高いと言えます。
募集時はサンデーRの馬に人気が集中しがちですが、社台RHにも楽しめる馬は多くいるはずです。
サンデーR
サンデーRはさすが近年の王者の風格です。全体、牡馬、西、の3項目で1位になりました。しかし、牡馬で1位になっているものの、実は牝馬のほうが回収率は高いです。まあこれは、ブエナビスタなど一部の活躍馬がデータを引っ張っているというのもあります。
サンデーRの場合は明らかな関西偏重で、関東にはなかなかいい馬が回ってこないというのが現実です。数少ない関東馬の活躍馬にはフェノーメノがいますが、本当にそれくらいで、なかなか関東から長打を期待するのは難しそうです。
3項目でトップのサンデーRですが、すべてにおいて優れているわけではなく、打率、長打率、三振率はいずれも社台RHを下回っています。
これらを総合して考えると、サンデーRは、ブエナビスタ、オルフェーヴルなどの一部のスーパーホースがクラブ全体の成績を底上げしている一方で、社台RHに比べると全く活躍できない馬の比率も多く、募集馬全体で考えれば、長打が出る確率自体は社台RHよりも低いと言えます。募集時の段階で出資実績等の関係で思うように出資できず、変にサンデーRにこだわって欲しくもない関東馬を買ってしまうと嵌ってしまう可能性もあるということでしょう。
キャロット
公表されているわけではありませんが、おそらく会員数ナンバー1のクラブでしょう。会員サービスも非常に充実していて、G1馬も多く出していますし、人気になるのは当然です。
しかしながら、今回のデータでは8項目中5項目で最下位を独占してしまいました。一番の問題は、全体の回収率が77%と他のクラブに比して明らかに低いということです。馬券で考えれば、平均よりも20%以上も控除率の高い券種の馬券(そんなものありませんが)を買っているような状態ということになります。これはかなり厳しい現実ですね。
回収率、打率、ともに悪く、長打率も実は平均よりも低い値です。しかも三振率だけは非常に高い。しかし、G1馬を多く出しているというのも事実です。データ上からは、値付けが非常に強気であるため、実は上級者向きの難易度の高いクラブであると言えると思います。
東サラ
実は全体の回収率は117%もあり、サンデーRに次ぐ2位につけています。クラブの方針が今一つ定まっていないということもありましたが、その中でも、社台G生産馬だけに注目すれば、老舗の社台RHや、目立っているキャロットをも凌ぐ回収率を上げているというのは素晴らしいですね。
このクラブは藤沢厩舎と非常につながりが強く、関東馬が活躍しているのかと思いきや、実は関東馬のカテゴリでは最下位と、なんだかイメージと異なる結果になりました。
牝馬の項目で1位になっているのは、やはりレッドディザイア、イタリアンレッドの牝馬2頭がクラブの代表馬と言える活躍をしているので納得です。
あと、意外かもしれませんが、社台G生産馬だけで考えた場合には、長打率が0.071と社台RHに次ぐ2位というのも素晴らしいですね。他のクラブと比較して、1次募集で抽選になる確率は格段に低いクラブですので、長打を狙うならこのクラブが意外と一番なのかもしれません。
グリーン
グリーンは強みと弱みがはっきりしています。まず、良い点は全体の回収率が114%と高いこと。さらに、打率は0.364と極めて高い値になっています。募集価格が比較的安いというのもあり、それなりの活躍で募集価格を回収してくれる馬が多いのはうれしいですね。
一方、弱みは何といっても長打がほとんどないこと。残念ながらこのクラブで1億円稼ぐ馬に出会うのは非常に難しそうです。あと、募集価格が安いのはいいのですが、三振率も高めになってしまっています。値段なりに稼ぐ馬を上手くつかめれば良いですが、外してしまうと、ハズレばっかりということにもなりかねませんね。
今日はここまでですが、クラブ別の傾向については、次回もう少し別の切り口から見てみたいと思っています。
Comments
競馬悟空さん、こんばんは。
興味深いデータですね、公開ありがとうございます。
早速、当方サイトにて紹介させていただきました。
Posted by: 林 裕幸 | February 21, 2013 12:18 AM
キャロット一筋なので、キツイですね・・・
まあ、社台 サンデーに負けるのは当然ですがレッド、グリーンにまで負けているのは・・・
掛け持ちはきついので、辞めておきますけど^^;
持ち馬のジェラルドですが毎回 追い通しで
ヤル気を出してくれない事には・・・(汗)
シャイニングタイムは今週デビューしそうです!?
滞在が合ってそうな感じですかね!?
しかしプントインアリアの方が先デビューなので何があるか分かりませんね^^;
Posted by: 松 | February 21, 2013 02:46 AM
林さん、おはようございます!
ご紹介いただきありがとうございます。何か役に立つデータがありましたら記事にしていきたいと思いますので、また見に来てくださいね!
Posted by: 競馬悟空 | February 21, 2013 08:25 AM
松さん、おはようございます!
キャロットは確かに当たりも入っている反面、たくさんの、いわゆるハズレが含まれているというのが正直なところですね。元々の値付けが高めに設定されているので、募集価格に対する回収率、打率ともに低くなってしまっていると考えられます。長打率はサンデーRともそんなに差はないのですが、三振率はキャロットのほうがかなり高いです。牧場側が、これはちょっとな・・と思っているのをキャロットに回しているのは間違いなさそうです。今後シルクがノーザンF傘下に加わって、その辺の事情がどうなるか興味深いですね。
東サラは実質的なオーナーが社台G生産馬の上お得意様であるためか、実は社台G生産馬に限れば成績は上位です。クラブとしての体裁もようやっと整ってきた感じですし、これから伸びると思います。
グリーンは、キャロットとは逆で値付けが安めなので、相対的に回収率も打率も高くなってるのかなと思います。その分長打はないわけで、難しいところです。
ジェラルドは気性的な部分が良くなってくるといいですね。気性は外見や血統だけからではわかり得ないので、本当にやっかいですよね。でも血統馬ですし、気性さえ落ち着いて来ればきっともっと活躍してくれると思います。
シャイニングタイムもついにデビューですか。楽しみです。いい走りを見せて欲しいですね!
Posted by: 競馬悟空 | February 21, 2013 08:44 AM
キャロのデータが興味深いですね。
あれだけ募集頭数いれば、外れも多いでしょうし納得です。ただ当たればでかい魅力は捨てがたいですしねえ。
東サラが意外にいいクラブだというのも、嬉しいですね。東サラの出資馬がまったくデビューしなくて、うーん・・という気持ちだったので、救われた気落ちです(笑)
Posted by: youchan | February 21, 2013 10:48 AM
キャロットのデータ、ちょっとショックです。
しかもキャロットのゼンノロブロイ産駒に出資しているので、
ダブルショックです。(ノ_-。)
三振王×三振王=ホームラン王
になりませんかね?
Posted by: MarsAttacks! | February 21, 2013 09:24 PM
競馬悟空さん、こんばんは^^
クラブ比較も面白いですね~(*^_^*)
キャロは当たりが目立って、非常に魅力的に映るんですが、
頭数の多さが足を引っ張ってますね(-_-)
それとおっしゃるように、足元を見た価格設定がハードルを上げてるのでしょう(^_^;)
今後、シルクに振り分けられて、ハズレの確率が分散されるのでしょうかね(^_-)
東サラは思ったより良くてホッとしましたが、東と牡馬の組み合わせが最悪ですね(>_<)(笑)
これを今年は覆してくれると信じてます(笑)
Posted by: レプティリア | February 21, 2013 09:39 PM
youchanさん、こんばんは!
キャロットは確かに当たりが必ず含まれているというのがポイントですね。それとともに、ある意味、抱き合わせ販売的なハズレが多く含まれているというのもポイントです。出資者の目が問われるクラブと言えそうです。
東サラは意外と成績いいんですよね。今後も社台G生産馬を狙って行けば楽しめると思いますよ!
Posted by: 競馬悟空 | February 22, 2013 12:14 AM
MarsAttacks!さん、こんばんは!
せっかく読んでいただいたのに、残念な気持ちにさせてしまい心苦しいです。。ただ、これはあくまで過去のデータ上の確率論なので、キャロットでも、ゼンノロブロイ産駒でも、活躍馬自体はいますのでご安心を。でも、私も調べてみて初めて気づくことも多かったです。。
Posted by: 競馬悟空 | February 22, 2013 12:23 AM
レプティリアさん、こんばんは!
クラブごとに見てみて、初めて気づくことも多かったです。キャロットは一部の当たりがクラブのイメージを引っ張っている反面、活躍できない馬も非常に多いですね。会員数も多いので、それでも勝手に馬が売れていく現状も、高めの価格設定に拍車をかけているのでしょう。今後のシルクとの割り振りが気になりますよね。
東サラの関東牡馬が低いのは、今まで藤沢厩舎に入った馬が今一つ活躍できてなかったのもあると思います。今後はまた変わってくると思いますし、期待しましょう!
Posted by: 競馬悟空 | February 22, 2013 12:34 AM