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March 23, 2013

母年齢(その1)

 種牡馬の実力シリーズもまだ完結していないんですが、今日はまたちょっと違う内容のお話です。もちろん、6月までに種牡馬の実力シリーズもやり切るつもりですが、そうは言っても同じようなことばっかりやってると疲れてくるので、違う角度の話をしたいと思います。

 タイトルにあるとおり、今日は母年齢についてです。
 募集馬の出生時の母年齢はやはり気になりますよね。生物学的とか、そんな難しいことを考えなくても、普通に考えれば母の馬齢が高齢であればあるほど、その産駒に悪い影響が出そうだと思えます。
 ただ、その区切りというか、一体何歳以上になると繁殖としての能力が衰えるのか、いや、そもそも衰えるのかどうかすらハッキリしたことはよくわかりません。そうはいっても、母年齢が競走能力に多大な影響を与えているということであれば無視できません。何とかヒントが得られないかと思い、いつものデータに合わせる形で調べてみました。
 前置きが長くなりましたが、とにかくまず結果を見てみましょう。

Haha_zentai


(注)
・1994年産以降で募集価格がわかる社台RH、サンデーR及びキャロットの募集馬の3,233頭を母集団としています。
・獲得賞金の単位は万円です。
・色付けは見やすくするためにつけただけで意味はありません。


1.回収率

 全体の回収率が111.4%です。まず、パッと見で、特に母年齢の違いによるハッキリした傾向というものはつかめないです。確かに高齢のほうが低め、特に19歳以上になるとさすがに厳しいなというのはありますが、16歳では非常に高い値となったりもしています。
 回収率では、5歳~7歳が高めの値になっていますが、特別抜けた値でもありません。
 表の下のほうで、17歳以上と16歳以下、15歳以上と14歳以下、及び、13歳以上と12歳以下の3つ範囲でで比較してみました。これでみると、母年齢が高いほうが回収率は低い傾向にあるので、やはり母が高齢のほうが活躍しにくいという傾向にはあると見てとれます。ただ、17歳以上と16歳以下でこそ84.4%と113.9%30%近く差が開きましたが、15歳以上と14歳以下では、10%程度しか差がありませんでした。正直もっと差が開くのかなというのがあったので、個人的にはあまり差がないなという印象です。


2.一頭賞金

 一頭あたりの獲得賞金は全体の平均値が2,921万円です。一頭あたりの賞金は16歳で最高値となっており、次が13歳です。16歳にはバブルガムフェロー、ネオユニヴァース、ザッツザプレンティ、アロンダイトなど、13歳にはブエナビスタ、デルタブルース、アヴェンチュラなどがいて、これらが値を引っ張り上げているというのもありますが、それにしても意外ではあります。もっと若い世代の母馬から最高値が出るならわかりますが、16歳が最高値というのは少し驚きです。回収率とは違って、一頭あたりの獲得賞金の場合は募集価格は無視された値ですが、回収率も一頭あたりの獲得賞金もいずれも16歳が最高値ですので、やはり16歳が最高値であることに文句のつけようがありません。
 表の下のほうを見ると、やはり回収率と同じように17歳以上と16歳以下で見ればそれなりに差がありますが、13歳以上と12歳以下ではほとんど差が無くなってしまいます。


3.打率

 打率も16歳が最高値となっていますが、そこを除けば、高齢のほうが概ね低め、若いほうが概ね高めの値となっています。
 表の下のほうで見るとより明らかです。打率は13歳以上と12歳以下で比較しても結構差が出ています。


4.長打率

 長打率も16歳が最高値。表の下のほうで見てみると、17歳以上と16歳以下でのみ、やや差があるものの、13歳以上と12歳以下ではほとんど差が無くなっています。


5.三振率

 三振率は母年齢による差と言えるほどのものはなさそうです。このデータからでは特に傾向はつかめないですね。


6.総評

 ここまで見てきて、個人的には思ったほど母年齢による差はないのかなと感じています。データを取れば、5歳から12歳くらいまでが確かにやや高めの値が出ていると思いますが、そんなに気にするほどの差でもないのかなとも思います。さすがに17歳以上ともなると、16歳以下とは確かに差はあるなと感じますが、今回のデータでは16歳がピークの値になってしまっています。母が高齢だとダメというのも、16歳くらいまでであればあまり気にする必要はないのかもしれません。
 今回のデータは社台RH、サンデーR及びキャロットの募集馬を対象にしましたので、ほとんどが社台G生産馬です。社台Gの牧場で高齢まで繁殖生活を続けている牝馬というのは、それなりに実績があるか、又は、何かみどころのある牝馬だったはずで、ダメな牝馬だったらその前にセールに出されてしまっているはずというのもあります。したがって、母が高齢でもそれなりの活躍馬を生産できているのかなというのもあります。
 ただ、16歳がピークの値になってしまっていることについては理由は謎です。単なる偶然かなとも思いますが、一応3,000頭以上によるデータなのでそんなに偏りが生じるとも思えないのですが。。まああまり深く考えても仕方ないでしょう。
 とりあえず、今日のところは母が17歳以上で産まれた仔については、ややマイナス面があるかもしれないと心に留めておいたほうが良さそうです。

 今日のところはここまでということで。この話はまだもう少し続きます。


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Comments

競馬悟空さん、こんにちわ!
母馬の年齢、壮大なテーマですね。
自分は高齢繁殖と初子は避けてます。
でもタケミカヅチのように安くて長打が出る馬もいますね。

近年はキャロでも ローザネイ とかケイティーズファースト など超高齢の仔が多いような気がします。
続きが楽しみです。

Posted by: うりうり | March 24, 2013 01:56 PM

競馬悟空さん、こんにちは^^

母年齢は一口でもPOGでも重要なファクターだと思います(^_^)v
先日栗山さんもブログで取り上げられてましたが、
最近は名繁殖牝馬であれば、あまり関係がない感じですね(^_^;)
ただ自分の場合、選択する馬が拮抗していて、
取捨する時に判断材料にするのが母年齢です(^o^)
今までは12~13歳までとしていましたが、
今の傾向だと16歳ぐらいまではOKだと
許容範囲を広げないといけませんね(>_<)

Posted by: レプティリア | March 24, 2013 02:12 PM

競馬悟空さん、こんにちは。
繁殖牝馬の年齢については、当方も勝手に13歳くらいをボーダーラインと考えていましたが、社台系の生産牧場であれば、繁殖牝馬の年齢はあまり気にする必要はないのかもしれませんね。
ご指摘の通り、競争の激しい社台系の生産牧場に高齢まで繋養されている繁殖牝馬は、どこか見所のある場合が多いのでしょうし、飼養管理が行き届いていることなど抜群の環境面で、加齢による衰えが少ないこともあるのかもしれません。
それでも(クラブ馬限定とは言え)日本最高レベルの社台系生産馬をもってしても、打率より三振率の方が高いとは、ランスやブライアントの打席のようなもので、タイムリーを期待していいのかどうか、何とも微妙な感じがしますね・・・。
続編を楽しみにしています。

Posted by: レッドスター | March 24, 2013 03:18 PM

うりうりさん、こんばんは!
そうなんですよね、壮大なテーマでありながら、実際はよくわからないテーマでもあるので、調べてみました。ただ、もっとハッキリと傾向が出るのかと思いきや、何とも難しいです。次回はクラブごとに見たいと思ってますので、お楽しみに!

Posted by: 競馬悟空 | March 24, 2013 08:42 PM

レプティリアさん、こんばんは!
なるほど、やはり名繁殖牝馬であれば、年齢はあまり関係ないのかもしれないですねえ。私も12~13歳くらいが限界値と認識していたのですが、そんなに気にする必要もないのかも。おっしゃるとおり、他の判断基準で拮抗している場合の取捨選択で母年齢を考慮するというのが妥当なのかもしれないですね。

Posted by: 競馬悟空 | March 24, 2013 08:46 PM

レッドスターさん、こんばんは!
社台グループをはじめとする大手の牧場では年々、生産馬の管理技術の革新が続いているはずですし、母年齢だけで切り捨てるような必要はないのかもしれないですね。
 確かに有名クラブでも、募集価格を回収できるような馬よりも、三振王が多いというのは厳しいですね。その中にはメジャーリーガー級の高年棒(高価格)の大型扇風機(笑)も確実に含まれているわけですので、本当に厳しい世界です。

Posted by: 競馬悟空 | March 24, 2013 09:05 PM

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