2013社台・サンデー・G1募集時評価の説明
いよいよ募集時評価を明日から開始します。途中休みも入ると思いますが、社台RHを4日、サンデーRを4日、G1を2日の全10日で行っていく予定です。
今年は、例の、トモ-後脚-肩-リズム、という評価に加えて、以下のexampleのようなデータ面の解析も載せる予定です。
その、データ面については、今までほとんどの記事を読んでくれた方でもパッと見では意味不明になってしまう可能性がありますので、ここで説明を入れておきたいと思います。過去の記事を読んでいただいている方ならば、この説明を読んでいただければ、内容についてはすんなりご理解いただけると思います。
社台・サンデーとは関係ありませんが、昨年の東京サラブレッドクラブの募集馬であるシェアザストーリーの11を例として各データを説明したいと思います。
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シェアザストーリーの11
父スペシャルウィーク
母父コマンダーインチーフ
牡3,600万
西 石坂正
募集時評価 A B C A
厩舎ランク 37.0
血統レベル A
母年齢 9
生産 ノーザンF
血統 170.8% 0.625 0.250 0.250
厩舎 194.6% 0.393 0.214 0.214
総合 182.7% 0.509 0.232 0.232
指数 6577
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1行目:募集名
2行目:種牡馬名
3行目:母父名
4行目:募集価格
5行目:東西所属及び所属厩舎名
6行目:募集時評価…左から、トモ-後脚-肩-全体のリズム、の評価です。
トモはトモの大きさ及び迫力で評価しています。後脚はクセがないか、スムーズか等で評価しています。肩は肩の出のスムーズさ、硬さで評価しています。全体のリズムはスムーズな全身運動ができているかを評価しています。
7行目:厩舎ランク…過去の記事にも何度か出てきている厩舎ランクの2012年の値です。基本的にはリーディングの順位が高いほど良い値になっているはずです。この厩舎ランクの数字は今回の回収率等の計算には使用していません。厩舎回収率等の値が現実と乖離していないかどうかを考える場合の参考として表示しているにすぎません。
8行目:血統レベル…母系の血統の良さを、近親(母、兄姉、祖母、叔父叔母)にG1馬がいるかどうかで単純に表しました。AAAはG1馬が3頭以上、AAはG1馬が2頭以上、AはG1馬が1頭、Bは近親に重賞勝ち馬あり、Cは近親に重賞3着以内馬あり、Dはその他という区分です。この血統レベルも計算には何の関係もありません。母系がどんな感じかを一目でわかるよう載せただけです。
9行目:母年齢:母の出産時の馬齢です。母年齢に応じた母係数を血統回収率に乗じます。
※母係数…以前の記事でも紹介した、母年齢の回収率に与える影響を係数化したものです。母係数は、血統回収率に乗じます。母4歳~7歳は1.1、母8歳~14歳は1.0、母15歳~16歳は0.9、母17歳~18歳は0.8、母19歳以上は0.7が係数となります。
10行目:生産牧場
11行目:左から、血統回収率、血統打率、血統長打率、血統三振率の値です。
※血統回収率…種牡馬ごとのデータを基にした各馬の(予想)回収率データです。種牡馬別で抜き出したデータをさらに、牡牝別かつ牧場別でフィルタしたデータが各馬の血統的回収率となります。種牡馬別+牡牝別だけで十分とも思えますが、やはり出自もデータに入れたいと思い、牧場別でもフィルタをかけたデータを使うこととしました。種牡馬によっては、データが少ないこともあります。その場合牧場別にまで絞り込んでしまうと、データが極端に偏ってしまうのですが、それはやむを得ないこととして、そのままのデータを使うことにしました。
ただし、新種牡馬やまだ産駒が1世代又は2世代しか走っていない種牡馬及び社台G生産の産駒が極端に少ない種牡馬については、そもそもデータが取れないか、又は、データの整合性が取れませんので、その場合は、全馬における、牡牝別及び牧場別のデータを代替として使うことにしています。
具体的には、ハービンジャー、キンシャサノキセキ、ダイワメジャー、チチカステナンゴ、メイショウサムソン、ローエングリン、ソングオブウインド、カンパニー、アドマイヤムーン、コンデュイット、ヴァーミリアン、アドマイヤドンは全馬平均のデータを使っています。なお、マル外は、マル外で集計したデータを使っていますので、全馬平均のデータは適用していません。
※血統打率…血統回収率と同じデータを使用して算出した各馬の(予想)打率です。
※血統長打率…血統回収率と同じデータを使用して算出した各馬の(予想)長打率です。
※血統三振率…血統回収率と同じデータを使用して算出した各馬の(予想)三振率です。
12行目:左から、厩舎回収率、厩舎打率、厩舎長打率、厩舎三振率の値です。
※厩舎回収率…血統回収率のデータと、元になるデータは同じですが、そのデータを厩舎ごとに算出したものです。データ上、転厩した馬については、最後に所属していた厩舎でカウントされています。したがって、上位厩舎から、不振馬が下位厩舎や新規厩舎に転厩しているという現実がありますので、上位厩舎のデータは現実よりも若干良くなっている可能性はあります。逆に、新規厩舎は引退寸前の未勝利馬を多数抱えていたために現実よりもデータが押し下げられる傾向にあると思います。この点はあまりに現実と乖離している場合は、その都度各馬のデータのところでコメントしたいと思います。
※厩舎打率…厩舎回収率と同じデータを使用して算出した各馬の(予想)打率です。
※厩舎長打率…厩舎回収率と同じデータを使用して算出した各馬の(予想)長打率です。
※厩舎三振率…厩舎回収率と同じデータを使用して算出した各馬の(予想)三振率です。
13行目:左から、総合回収率、総合打率、総合長打率、総合三振率の値です。
※総合回収率…血統回収率に母係数を乗じたものと、厩舎回収率を合計し、2で除した値です。計算式で表すと以下の通りです。
「総合回収率=(血統回収率×母係数+厩舎回収率)/2」
※総合打率…血統打率と厩舎打率を単純に加算して2で除したものです。
※総合長打率…血統長打率と厩舎長打率を単純に加算して2で除したものです。
※総合三振率…血統三振率と厩舎三振率を単純に加算して2で除したものです。
14行目:指数…募集価格×総合回収率の値です。数値的には予想獲得賞金的なものと考えています。
一気に説明しましたが、さすがに、普段このブログを読んでいただいている方でも、意味不明すぎて、呆気にとられているかもしれませんね(笑)。まあ、いずれも単なる数字遊びに過ぎないという面もあるのですが、何もないよりはいいだろうという程度の参考情報として見てください。
馬体以外の情報をどうやって集約していったら、ある程度の合理性をもった指標を作れるかを自分なりに試行錯誤した結果、こういうことになりました。
まず、血統面では種牡馬に注目し、種牡馬ごとの回収率等を今まで調べてきました。「種牡馬の実力」で色々調べていたのと基本的に同じです。ただ、なるべく直近のデータも加えたいという意味合いで、2010年産の3歳馬の成績も含めています。ちなみに、3歳馬のデータを含めたら、ディープインパクトのデータが急落しました。クラブ馬の3歳ディープが不振だったことがわかります。
各種牡馬ごとの回収率等を各募集馬にあてはめていくにあたって、牡牝でフィルタし、さらに生産牧場でフィルタしたデータを使用することにしました。最初はさらに東西別までフィルタしたデータを使おうかとも思ったのですが、あまりにデータが細分化され過ぎてもかえって意味がないかと思い、牡牝別、生産牧場別でフィルタしたデータを使うことにしました。今回の例に挙げた、シェアザストーリーの11の場合だと、スペシャルウィークの牡馬でノーザンF出身の2006~2010産馬の平均データを使用しているということになります。
牡牝別のフィルタだけで十分だし、牧場別はかえってデータの信頼性を損なうという考え方もあると思いますが、私は「出自」は結構重要なんじゃないかなと勝手に思っているので、フィルタに加えました。最終的に出資馬を選ぶ際には、各馬でなるべく差がついたほうが面白いかなとも思うので、このあたりの細かさのフィルタが適当かなと思ったわけです。
さらに、血統回収率には母係数を乗じています。母の年齢が高くなるにつれて仔の成績も下がるという相関関係があることは、全体的な平均で見れば明らかであるため、そこも数値化しました。以前記事に書いたやつです。母係数を血統回収率に乗じるか、厩舎回収率と加算後の総合回収率に乗じるかは最後まで迷ったのですが、総合回収率に乗じると影響が大きすぎるかもしれないと思い、血統回収率に乗じることとしました。一応、これで母年齢のデータも回収率に反映しています。ただし、打率、長打率、三振率には母係数は乗じていません。
次に厩舎についてです。厩舎については、リーディングの順位や、厩舎ランクの値を見れば、その所属厩舎の現状はだいたい把握できます。ただ、不思議なことですが、リーディング上位や厩舎ランク上位の厩舎であっても、クラブ馬という切り口で見た場合は実はそんなに上位ではないという厩舎もあります。なんとなく感じてはいるものの数値では表現されていないのでよくわからない。そのよくわからない部分を数値化したものが、厩舎回収率等ということになります。さらに今回の場合は、社台G生産クラブ馬に限定してデータを取っています。一部過去の社台G生産馬の預託がない厩舎については、他牧場生産のクラブ馬全馬のデータを使用していますが、ほとんどの厩舎については社台G生産馬のみのデータを基にしています。これで、その所属厩舎が社台Gとどのような関係性にあるのかもわかるかと思います。
例えば、回収率等いずれの数値も低いにもかかわらず毎年預託馬が回ってくるような、いわゆる「義理」のある厩舎なのか、とか、すべての数値が平均以上で、活躍馬はそんなに多くないものの、社台Gと信頼関係が築けている厩舎なのかとか、色々考えられると思います。
さらに細かく考えると、回収率は良いが打率、長打率ともに低く、1頭の活躍馬が回収率のデータを引っ張り上げている厩舎なのかとか、回収率はそれほどでもないが、打率が高く三振率の低い確実性の高い厩舎なのかとか深く考えることもできるかと思います。色んな見方があると思いますので、楽しんで読み解いていただければと思います。
そして、血統面と厩舎面を単純に合体させたのが総合回収率等です。一番使い勝手のいいデータかもしれません。最初に総合回収率等を見て、その後、血統回収率等及び厩舎回収率等の個別データを見ていく方が思考の流れとしては帰納的でわかりやすいかもしれませんね。血統と厩舎というのは独立した事象なのですが、あえて合算してみました。なるべくデータ上穴の少ない馬を探したいという場合には最適なデータかもしれません。
最後のデータが、「指数」です。正直なくてもいいデータなのですが、募集価格に総合回収率を乗じたら、机上の予想獲得賞金的なものがでるだろうということで、加えました。単に私が指数好きで、いつか自分独自の指数を作ってみたいなあと漠然と思っていたのもあり、「指数」ということにしました。名づけるなら「競馬悟空指数」でしょうか(笑)。我ながら幼稚な数字遊びだとは思いますが、なんかもう、考えすぎて何もかもわからなくなってしまったというときに参考にしてみてください。
これらのデータは、当たり前ですが、過去5年分のデータを基にしているため、過去5年の名馬と「出自」が似ていればいるほど、値は高くなる傾向にあります。要するに、白老産のステイゴールド牡馬であればとんでもなく高い値になるということです。確かに、こういうふうに断片的に切り取ってしまうと、何か無意味なものに感じてしまうのですが、実際のところ、これらのデータは「血統」や「厩舎」のトレンドを知るのに役立つという部分が大きいのかなと思います。株式投資でもテクニカル指標とかありますし、そういう過去のデータを基に、トレンドを読み解いていく。そう考えれば、意外と無駄でもないデータなのかなと自分としては思っています。
さて、明日から始める予定の募集時評価では上記のexampleで示したデータにコメントをつけて、だいたい20頭くらいずつ紹介していきます。皆さんの出資馬選定の参考になるかはわかりませんが、気が向いたら暇つぶしにご覧ください。
Comments
競馬悟空さん、こんばんは。凄いです。自分には出来ません。感性で行ってしまうので。それを止める為に使わして頂きます。
Posted by: パパディー | June 05, 2013 10:47 PM
パパディーさん、こんばんは!
確かに、こんなバカなことをやる人はなかなかいないと思います(笑)。でも、楽しんでいただけたり、何か考える参考にしていただけたら嬉しいです。たしかに感性に偏り過ぎたらデータで熱を冷ますという手もあるかもしれないですね。
Posted by: 競馬悟空 | June 05, 2013 11:35 PM
競馬悟空さん、こんにちは。
3月から始めた一口馬主初心者です。いつも大変参考になる記事、データありがとうございます。今度は、すごい事になりそうな大事業ですね。私の気になる仔を競馬悟空さんがどんな評価をされるか、ドキドキ、ワクワクです。楽しみにしています。頑張ってください。
Posted by: 南行 | June 06, 2013 03:13 PM
南行さん、こんばんは!
楽しみにしていただき、ありがとうございます。データはこのために半年くらい前から色々と試行錯誤して考えてきたものなので、色々な使い道があるかとおもいます。たかがデータ、されどデータ。データに踊らされたくはないですが、私自身上手く付き合って、色々考えられたらと思っています。
募集時評価のほうは、ある意味まったくの主観の内容なので、何の信頼性もないものではありますが、他人の頭の中をちょっと覗いたと思って、気楽に見てください!
Posted by: 競馬悟空 | June 06, 2013 05:40 PM
競馬悟空さん、こんばんは!
今までのデータの集大成が、ここに花開くのですね!楽しみに読まさせていただきます。
ただ40口系のクラブは、敷居が高い感じがしますので、眺めるだけになりそうですが。
Posted by: MarsAttacks! | June 06, 2013 10:41 PM
MarsAttacks!さん、こんにちは!
色々試行錯誤して考えてきた内容がやっと形になりました~。他クラブでも今後の出資の参考になるデータもあると思うので、ぜひ楽しんで見てください。キャロットの募集時も同様の感じでやっていくと思いますので、その予習ってことで(笑)。
Posted by: 競馬悟空 | June 07, 2013 01:24 PM