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January 30, 2015

名人のロジック

 将棋好きなら誰でも知ってる羽生善治名人。将棋を知らない方でも名前だけは知っているという場合も多いでしょう。一時期は将棋のタイトルをほとんど独占したりもしていた、とにかく将棋が強い人です。

 名人の頭の中ってどうなっているのかと、気になりますよね。
 その羽生名人が語ってくれた次の記事が非常に面白かったのでご紹介します。


http://president.jp/articles/-/14033


 まず、読んでみていただきたいのですが、この羽生名人の語られている内容は、一口にも通ずると思いました。ただ、記事のタイトルにはあまり意味はないです。まあ、目を引くヘッドラインにしておかないと誰も読んでくれないということで、こういうタイトルになったのでしょう。


 以下、記事に沿って名人のロジックを考えてみたいと思います。

 まず気になったのは、「最初に局面全体の方向性を大ざっぱに、感覚的にとらえて、そこから細かいところをロジックで詰めていく」という部分です。
 やはり何事においてもそうなんでしょうが、いきなり細かい部分に手を付けてはいけない。あわてずに、大局を見て、大要をつかむのが重要だということだと思います。

 一口について例えるならば、出資馬を選ぶときに、いきなり馬体の細かい部分や、血統の細かい部分に突っ込んでいくのではなく、自分自身の方針をまず大まかに決めておくことが重要なのかなと思います。


 そして、「経験知」の話では、「これをやったらうまくいかない」ということを、いかにたくさん知っているかが大切であると語っています。
 これは本当に、ダイレクトに一口のロジックにも通ずるものだと思います。多くの場合において、色々な試行錯誤や経験を積んだ上で、こういう馬に出資するとうまくいかないという「経験知」が積みあがっていくものだと思います。

 その中で、名人の言う「羅針盤」の精度がだんだんと上がっていって、「こういう馬を選んだほうが確実性が高い」というロジックが自分の中にできていくのかもしれません。


 将棋の世界も最先端ではめまぐるしく変化しているそうですが、競馬の世界もそうですよね。
 自分の中でこれで万全というロジックが出来上がったとしても、もうその時点で、新たな種牡馬はデビューするわ、馬場は改修されるわと、もう変化が始まってしまいます。万全の計略があったとしても、それはその一時のものであって、永久ではない。なかなか簡単にはいきません。


 コンピュータと人間の将棋対決についても、羽生名人のコメントがあるのは興味深いところです。名人の考えでは、人間とコンピュータとの間の勝敗はあまり意味がないとのこと。
 コンピュータにも人間にもそれぞれ良さがあるということですね。
 競馬で考えるなら、コンピュータ=データということになるでしょうか。いくらパドックで馬体を見ても買い材料にならない馬が、データでは抜き出せるということがあります。コンピュータの得意とするデータの集計、抜粋の中から得られたものを上手く活用して、最後は人間の判断で勝つ。これが理想でしょうか。


 最後まで名人の明晰なロジックが展開されるのかと思いきや、最後はまさかの「野生の勘」で締めくくり。名人に野生の勘も大事と言われると妙に納得しますよね。
 そうかあ、名人でも過去に習い覚えたことがまったく役に立たない場面がしばしばあるのかあと呆然とするとともに、人間の無限の可能性にも期待したくなります。

 名人のお話を読んで考えることは人それぞれだとは思いますが、何か一口の、さらには人生のプラスになることを感じられたらいいですね。

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