ニューワールド
ハナズゴールで有名なマイケル・タバート氏が設立したニューワールドレーシングが、40口ファンド募集をまもなく開始するようです。
まずは、以下の競馬ラボの記事を読んでいただくのが良いでしょう。
https://www.keibalab.jp/column/specialtalk/vol_50_1/
私も全部読みましたが、なかなか興味深い内容です。
この中で、主なクラブの特徴が以下のようにまとめられています。
【ニューワールドレーシングの主なコンセプト】
1.入会費、毎月会費、年会費は一切なし
2.育成が始まってから引退まで毎日の情報更新
3.レントゲン、喉検査の映像や心臓検査結果など、獣医チェックの情報を全て開示
4.明確な目標=桜花賞(牝馬)、ダービー(牡馬)を掲げ、
出資馬が出走した場合に所属厩舎に謝礼金500万円をボーナスとして支払う
5.浦河町を中心に、日高の牧場が生産し育てた馬を厳選
6.会員の声をなるべく反映する姿勢
>1.入会費、毎月会費、年会費は一切なし
いいですねえ。間接的な経費が掛からないというのは非常にうれしいですよね、一見。
ただ、ご本人も婉曲に言い含めているように、ようするに馬代金にあるていど「利ざや」が乗っているということですよね。
それが適正なのかどうなのかは、誰にもわかりませんから、考えようによってはこれらの経費は前払い形式であると言えなくもないです。
この辺はすべての原価が開示されない限り、要するにすべての帳簿書類が開示されない限り追及しても致し方のないことですので、各々で判断するしかないですね。
>2.育成が始まってから引退まで毎日の情報更新
最高ですね。40口のクラブは、現状、情報の更新回数が非常に少ないというのは事実です。
個人的には毎日でなくてもいい気もしますが、何でもいいので、情報を知らせてくれるというのは、マイナスな点は一切ないでしょう。誰にとってもマイナスにならない要素だと思います。
>3.レントゲン、喉検査の映像や心臓検査結果など、獣医チェックの情報を全て開示
うれしい内容だと一見思えますが、実は私は獣医でもなんでもない(あたりまえですが・・・)のでそんなもの見せてもらったところで仕方ないです。
ただし、情報を開示する姿勢というのは評価されるべきだと思います。
実際セールだったらレポジトリでこれらの情報を得られるわけですし、見たところでわからなくても、「隠さない」という姿勢が評価されるでしょう。
しかしこれは40口で将来の馬主候補の人を主な顧客として設定しているからできることですよね。
400口、500口のクラブでこれやったら、有象無象がアレコレと後でクラブに文句をつけてきて収拾がつかない事態になるかもしれない。
いずれにしても、クラブ会員が常識的な行動をとる限りは、プラスでしかなく、マイナスな要素ではないでしょう。
>4.明確な目標=桜花賞(牝馬)、ダービー(牡馬)を掲げ、
出資馬が出走した場合に所属厩舎に謝礼金500万円をボーナスとして支払う
これはどうなんでしょうか。大いに疑問も残ります。
桜花賞とダービーは18頭ずつしか出られません。
そこを目指して無理をするとロクなことにならないというのも私を含めて多くの人が経験しているでしょう。
適材適所という言葉がある通り、イチローをキャッチャーで使ったり、ラミレスをセカンドとかショートで使ってもいいことないでしょう。それと同じで、馬にも色々向き不向きがあると思うので、全部が同じ目標っていうのはどうなんでしょうね。
そういう名馬を集めてきたんだと言われたらそれまでですが、合理的な会計のプロが言うこととしてはちょっと違和感あるかな。
厩舎に500万円というのは、どうでもいいですね。馬の世界では500万なんて牛丼一杯くらいの感覚ですから。
>5.浦河町を中心に、日高の牧場が生産し育てた馬を厳選
日高の馬+マル外という組み合わせで戦っていくと。
現実的な選択だなと思いました。
結局のところ馬が走れば「大勝利」ですし、ダメなら「炎上」っていうのはこの世界の掟のようなものですから、結果を待つしかないでしょう。
>6.会員の声をなるべく反映する姿勢
多くの人にとっては良いことなのではないでしょうか。
これがコンセプトに挙がってくるということは、会員の声に耳を傾けないクラブが多いってことでしょう。
私自身は、このコンセプトには何の魅力も感じません。
そもそも最初から規約に書いてあることに納得して入会していますし、あとは規約の範囲内で「プロ」に好きなようにやってもらいたい。素人の「会員」が余計な口出しをするようなことは絶対に排除して欲しいという考え方です。会員の声を反映しない姿勢でいてもらいたいと常日頃思っています。
もちろん、Webを見やすくしてほしいとか、飲み会を開催してくれだとか(笑)、そういう声に耳を傾けるのはいいことだと思います。
一方、馬そのものやクラブの経営に関わるようなことはクラブに自尊心と責任を持ってしっかりやってほしいと思っているので、ここはあんまり魅力を感じませんでした。
記事を読んで、“循環”だという話には非常に納得が行きました。
正常営業循環基準というのが会計にはあって、会計やった人ならば誰でも習う言葉ですが、それに似ているなとも思いました。
言うならば、「正常”馬”循環基準」でしょうか。
影響力のない個人馬主だったら、初代ウイニングポストの名言、「いまちょっと詰まってまんねん」っていうことになってしまうわけですよね。
もう、いきなり、そこで循環終了。
でも多くの人を集めて、そこから出資金を得て、「グループ」になれば、循環していく。
わかりやすいお話です。
あと、本当はみんな、ノーザンFしがらきとかを使いたいという、言いにくいところを正直に言っているところも好感を持ちました。
本当のことなのですから仕方ないですよね。
ニューワールドレーシングの募集馬は、Twitterで発表になっています。
現状40口のみの募集。
先ほどの記事で言及されているとおり、将来個人馬主を目指すような層をターゲットにしているようで、400口、500口の会員は現状はターゲットになっていない模様。
個人的には40口クラブというところに興味があります。
40口専門は、社台・サンデーとG1しかないですからね。
ノルマンディーは基本400口と少数の40口のハイブリッド。
ラフィアンとかターファイトとかは基本100口。
400口、500口のクラブは結構たくさんあります。
40口専門は珍しくなりました。
ただやっぱり、40口で買うなら、実績制が採用されているところにお金を使いたいなというのはあります。
その辺が難しいところでしょうね。
無尽蔵にお金がある人ならばともかく、個人馬主を目指すような人であっても、予算に限りがあるでしょうし。
現状で社台・サンデー、G1の実績制の囲い込みの中にいる出資者を引きはがして持ってくるのは、結構難儀な気がします。
いやいや、実績制でないクラブででも、1.4億の馬とか普通に満口になるじゃないかって話ですが、あれはノーザンですし、そもそもが特殊な血統馬。
しかも、ノーザンF天栄又はしがらきのセット価格ですから。
ノーザンだからできることであって、他が真似できるのかなという疑問もあります。
でも、本当に「一口」がブームならば、ノーザンでなくても満口になるはず。
自分自身は、とりあえず様子見ですね。もう今年の予算も使い切りましたし。
馬がガンガン売れて、楽しそうだったら、さらに興味もわくかもしれません。
Comments
競馬悟空さん、こんばんは。
マイケル・タバート氏、素晴らしいダビスタ愛ですね。理念よりまず動画に釘付けに(笑)
募集馬ですが、目玉であるフランケルの牡馬で1億4千万は安いかもしれませんね。アイルランドの初年度セール平均価格が9330万で、既に価値上昇しているのに輸送料込でこのお値段は人気でそうですね。
獣医チェックより、遺伝子検査の公表は他クラブさんも含めて個人的にはしてほしいですね。CC・CT・TTが分かるだけでも、馬体見れない自分にはありがたいです。
Posted by: フィル | November 23, 2017 08:55 PM
フィルさん、こんにちは!
私も動画見ました(笑)。なんだか懐かしい感じのゲーム画面っていう雰囲気ですよね。
フランケル産駒は輸送費がありますからねえ。そこをどう考えるか。でもディープの種付け料も上がり切っていますし、フランケルで1.4億でもチャンスはあるかもしれませんね。遺伝子検査については、長距離の遺伝子の馬はもうほとんど残っていないということらしいので、逆にそういうのがいたら、狙ってみたい気もしました。
Posted by: 競馬悟空 | November 24, 2017 08:53 AM