ガチョウと白鳥と成駿氏と
※いろいろ紆余曲折あったガチョウvs.白鳥ですが、私の最終見解は次の「続・ガチョウvs.白鳥」に書きました。そちらも併せてお読みください。結論として、例の騎手は「不起訴処分」ということで(笑)。
とある外国人騎手が、「一身上の都合」により、短期免許を返納して、先日クニに帰られたそうな。
様々な事情があるでしょうから、それはそれでいいのですが、帰った後に、ご自身のクニのマスコミに、「ガチョウを白鳥にすることはできない」と語ったとか。
まあ、つまりは、騎乗馬のレベルが低く、どうやっても勝ち星を量産できそうにないので、日本の短期免許でこれ以上乗ってもしかたないと。
プライドもあるでしょうし、昔だったら遠い外国での発言が日本に伝わることもなかったでしょうからいいんですが、今は何でも瞬時に伝わる世の中ですから。
あんまりそういう恥ずかしい発言はしないほうが良かったのかなと思います。
先日ススキノで暴れて捕まった元騎手も、結局は馬の質で、いい馬には誰が乗っても同じというようなことを言っていましたが、それも確かに半分は真実ですが、「いい」馬を潰す「悪い」騎手がいるのも真実。
30年以上競馬を見てきて、ヒト3、ウマ7ではなく、ヒト1、ウマ9、の場面も確かに多く見てきましたが、一方でヒト5、ウマ5の場面も確かにあった。
騎手はすべての関係者が精魂込めて創り上げた「作品」を最後の最後で台無しにすることもできる責任の大きな職業。
ウソでもいいから「オレが乗っていたら違った」くらいのことを言って欲しいですね。
その上で、1,000勝以上するようなジョッキーになったのであれば、引退間近になったら、「こんなに追ったのは何十年ぶり」というリップサービスがあってもいいんだと思います。
そのようなユーモアのある謙遜も日本の騎手ならではだったのかもしれません。
ガチョウvs.白鳥の話を聞いて、懐かしく思い出すのは故・清水成駿氏のこと。
もし成駿氏が今生きておられて、この発言を聞いたならどんな辛辣な発言をしたのかなと思ってしまいます。
その昔、短期免許の騎手が日本に来始めた頃、その少し前のマル外ブームもあってか、とにかく外国は凄いんだという「前提」がありました。
そんな中、短期免許で来日したサンチャゴ・ソト騎手は、まだ競馬を始めてから数年の私でも、アレ?この騎手はどうなんだろうかと思うことが度々ありました。
ある日、ラジオ日本で最終レースの実況・解説を聞いていると、時間が余ったんでしょうね、話を振られた清水成駿氏が、突然咆え出しました。
あの軽妙な、かつ、趣のある語り口で、あいつは一体何なんだとボロクソに語り始めたんです(笑)。
歯に衣着せぬタイプの解説者でしたから、それだけファンも多かったですし、また、聞く価値もあったわけです。
外国人騎手というだけでありがたがられているが、あいつは違う。
雑な騎乗で日本を舐めている。
というような評価だったと思います。
今、東スポもまったく買わなくなりました。
一馬はもっと前から買わなくなっていましたが、G1になると東スポに清水成駿氏のコラムが一面に載るのが楽しみで、東スポを買っていた自分がいました。
今回はどんなお話し、どんな切り口でレースを予想するのだろうと、ワクワクしていました。
今は、あれは言ってはダメ、これは触れてはダメ、という世の中ですから、仮に成駿氏が生きておられたとしても、あの鋭い批評を聞けたかどうかわかりませんが、ガチョウと白鳥の話を聞いたならきっとコラムで触れたでしょうし、また、皮肉たっぷりのユーモアあふれる文章で我々を楽しませてくれたんだろうなと思います。